突然お湯が出なくなり、給湯器の交換を急に迫られてはいませんか?「すぐにでも直したいけれど、大きな出費になるし、どの給湯器を選べばいいのか…」と、不安や焦りを感じていらっしゃるかもしれません。
特に、ガス給湯器からエコキュートへの交換を検討している場合は、仕組みも費用も大きく変わるため慎重な判断が必要です。
この記事では、給湯器の専門家として、そうした緊急事態に直面しているあなたが、落ち着いて最善の選択をするためのお手伝いをします。交換にかかる費用の総額から、具体的な工事の流れ、そして今なら活用できるお得な補助金制度まで後悔しないための知識を分かりやすく解説していきます。
この記事で分かることの要約
ガス給湯器とエコキュート、今交換するならどちらが正解?
時間がない中で判断を迫られている方のために、まずは結論からお伝えします。どちらの給湯器がご家庭にとって正解なのか、メリット・デメリットを比較しながら見ていきましょう。
【早わかり比較表】メリット・デメリット一覧チェック
まずは、ガス給湯器とエコキュートの主な違いを一覧で比較してみましょう。ご自身の状況と照らし合わせながら、どちらが合っているかのあたりをつけてみてください。
比較項目 | ガス給湯器 | エコキュート |
---|---|---|
初期費用 | 安い(15万~40万円) | 高い(40万~70万円) |
年間光熱費 | 高い | 安い(ガス給湯器の約半分以下) |
災害時の強さ | 電気・ガス停止で停止 | タンク内のお湯を生活用水に利用可 |
設置スペース | 小さい | 大きい |
お湯切れリスク | なし(瞬間式) | あり(貯湯式) |
水圧 | 強い(水道圧直結) | やや弱い傾向(高圧モデルで対応可) |
環境性 | CO2を排出 | CO2排出量が少ない |
長期的な視点(10年間)で見ればエコキュートが経済的
エコキュートの最大の魅力は、月々の光熱費、つまりランニングコストの安さです。初期費用はガス給湯器よりも高額になりますが、その差額は日々の電気代の節約によって、多くの場合10年を待たずに回収できます。
給湯器の寿命が一般的に10年~15年であることを考えると、トータルコストではエコキュートの方が経済的になるケースがほとんどです。急な出費は痛いですが、これを機に家計を見直す良い機会と捉えることもできます。
こんなご家庭はガス給湯器が向いている場合も
とはいえ、すべてのご家庭にエコキュートが最適というわけではありません。信頼できる情報として、エコキュートをおすすめしにくいケースも正直にお伝えします。
- 数年以内に引っ越しの予定があるご家庭
- 設置スペースがどうしても確保できないご家庭
- お湯の使用量が日によって極端に違うご家庭
エコキュートは貯湯タンクとヒートポンプユニットの2台を置くスペースが必要です。特にマンションや住宅密集地では物理的に設置が難しい場合があります。また、普段は少人数ですが週末に家族や親戚が大勢集まる機会が多いなどお湯の使用量が予測しにくい場合、タンクのお湯を使い切ってしまう「湯切れ」のリスクがあります。
これらのケースに当てはまる場合は、従来のガス給湯器(特に省エネ性能の高いエコジョーズなど)への交換も有力な選択肢となります。
エコキュートへの交換で後悔しないための注意点と対策
エコキュートはメリットの多い給湯器ですが、万能ではありません。ガス給湯器とは仕組みが違うため、いくつか注意すべき点があります。
しかし、これらは事前に対策を知っておけば、ほとんどが解決可能です。後悔しないために、デメリットと具体的な対策を正直にお伝えします。
「お湯切れ」は家族構成に合ったタンク容量選びで防ぐ
エコキュートは深夜に沸かしたお湯をタンクに貯めて使う「貯湯式」のため、一度に使えるお湯の量に限りがあります。来客などで想定以上にお湯を使うと、タンクが空になり「湯切れ」を起こす可能性があります。
この対策はシンプルで、ご家庭の人数やライフスタイルに合った、少し余裕のあるタンク容量を選ぶことです。一般的な目安は以下の通りです。
- 2~4人家族: 300L
- 3~5人家族: 370L(最も標準的なサイズ)
- 4~6人家族: 460L
育ち盛りのお子さんがいるご家庭や来客が多いご家庭は、目安より一つ上のサイズを選ぶと安心です。専門業者と相談し、最適な容量を決めましょう。
水圧問題は高圧給湯モデルで解決
ガス給湯器は水道管の圧力をそのまま利用するため水圧が強いですが、エコキュートは一度タンクに貯める構造上、水圧が少し弱くなる傾向があります。特に2階のシャワーなどで物足りなさを感じるケースがありました。
しかし、この問題は技術の進歩で大きく改善されています。現在、主要メーカーからは「高圧給湯タイプ」や「パワフル高圧タイプ」といった、ガス給湯器と遜色ない水圧を実現したモデルが多数販売されています。
シャワーの水圧を重視する方は、見積もりの際に「高圧タイプで」とリクエストすれば、このデメリットはほぼ解消できます。
運転音は設置場所の工夫で近隣トラブルを回避
エコキュートは、お湯を沸かす際にヒートポンプユニットが「ブーン」という低い音を出します。エアコンの室外機と同程度かそれ以下の音量ですが、深夜に稼働するため、設置場所によっては騒音問題に発展する可能性もゼロではありません。
対策は、設置場所を工夫することです。ご自身の寝室の窓際はもちろん、お隣の家の寝室やリビングの近くを避けて設置するのがマナーです。
敷地に余裕があれば、建物から少し離すだけでも音の伝わり方は大きく変わります。現地調査の際に、業者と一緒に最適な設置場所を検討しましょう。
設置スペースは薄型モデルや事前確認で対応
前述の通り、エコキュートは貯湯タンクとヒートポンプユニットの2台を置くスペースが必要です。ガス給湯器からの交換で最もハードルになりやすいのが、このスペース問題です。
設置スペースが限られている都市部の住宅向けに、奥行きがスリムな「薄型モデル」もラインナップされています。また、諦める前に、まずは専門業者に現地調査を依頼することが重要です。
プロの目で見れば、意外な場所に設置スペースが見つかることもあります。
【最重要】ガス給湯器からエコキュートへの交換費用全解説
交換を検討する上で、最も気になるのが「結局、総額でいくらかかるのか?」という点ですね。ここでは、費用の内訳を一つひとつ分解し、不透明な部分がないように詳しく解説します。
初期費用
まず基本となるのが、エコキュート本体の価格と設置に必要な「標準工事費」です。
内訳 | 費用目安 | 検討が必要な要素 |
---|---|---|
エコキュート本体価格 | 30万円~60万円 | メーカーや機能、タンク容量によって幅があります |
標準工事費 | 10万円~20万円 | 既存のガス給湯器の撤去・処分、エコキュート本体の搬入・据付、基本的な配管・電気配線の接続などが含まれます |
合計すると、ガス給湯器からエコキュートへの交換にかかる初期費用は一般的に40万円~70万円程度を見ておくとよいでしょう。
追加工事費用
ここで注意したいのが、「標準工事費」だけでは収まらない可能性がある「追加工事費用」の存在です。これは、お客様のご自宅の状況によって必要になる工事で、見積もりを取るまで金額が確定しにくい部分となります。
この「隠れコスト」の可能性を知っておくことが、後々のトラブルを防ぐ上で非常に重要です。
内訳 | 費用目安 | 費用の内容 |
---|---|---|
基礎工事 | 約2万円~4万円 | エコキュートの貯湯タンクは満水時には400kgを超える重量物になります。その重さに耐え、地震の揺れでも倒れない土台を作る工事が必要。 |
200V電気工事 | 約3.5万円~6万円 | 古い住宅の場合、ご家庭の分電盤が100Vにしか対応しておらず、200Vを引き込むための工事が必要 |
幹線交換 | 約2.5万円~5.5万円 | 大元の電気配線(幹線)が細い場合、200Vの電力に耐えられる太い配線に交換する必要 |
追い焚き配管工事 | 約1万円~1.5万円 | 追い焚き機能付きのモデルを設置する場合、浴槽とエコキュートを繋ぐための配管を追加する工事 |
これらの追加工事は、決して珍しいものではありません。むしろ、ガス給湯器からの交換では何らかの追加工事が発生する可能性が高いと考えておきましょう。
だからこそ、契約前に必ず現地調査をしてもらい、どの追加工事が必要で、それぞれいくらかかるのかを明記した詳細な見積もりを取ることが不可欠です。
ランニングコスト
高い初期費用をかけてもエコキュートを選ぶ最大の理由は、日々の光熱費の安さにあります。エコキュートは電気代が安い深夜電力を使ってお湯を沸かして昼間に使う仕組みのため、ガスでお湯を沸かすよりも大幅にコストを抑えることができます。
例えば、東京電力エリアの場合、4人家族の年間給湯コストは以下のようになります。
- ガス給湯器(都市ガス): 約73,200円
- エコキュート: 約37,200円
これはあくまで一例ですが、年間で約36,000円、およそ半額近くまで給湯費を削減できる計算です。プロパンガスをご利用のご家庭であれば、節約効果はさらに大きくなります。
【シミュレーション】10年間の総費用で比較!補助金も考慮
「初期費用は高いけど、ランニングコストは安い…結局どっちがお得なの?」その疑問に答えるため、補助金も考慮に入れた10年間のトータルコストをシミュレーションしてみましょう。
【10年間の総費用シミュレーション(4人家族・東京エリアの例)】
項目 | ガス給湯器(エコジョーズ) | エコキュート |
---|---|---|
初期費用 | 250,000円 | 600,000円 |
年間光熱費 | 73,200円 | 37,200円 |
10年間光熱費 | 732,000円 | 372,000円 |
補助金(※) | 0円 | -120,000円 |
10年間総費用 | 982,000円 | 852,000円 |
※エコキュートの補助金は「給湯省エネ2025事業」の基本額6万円+性能加算6万円を想定。
このように、10年というスパンで見ると、エコキュートの方が10万円以上もお得になる可能性があります。自身の状況に合わせて、ぜひ一度計算してみてください。
給湯器交換工事の地調査から運転開始までの流れ
「工事って何日もかかるの?」「その間お風呂に入れないの?」といった不安を解消するため、契約前から工事完了までの具体的な流れを解説します。全体像を把握すれば、落ち着いて準備を進められます。
1: 契約前の現地調査と見積もり
すべての始まりは、専門業者による現地調査です。これは、あなたの家に最適なエコキュートを選び、正確な工事費用を算出するための非常に重要なステップです。
業者は、主に以下の点を確認します。
- 設置スペースの確認
- 搬入経路の確認
- 電気系統の確認
- 配管状況の確認
この調査に基づき、詳細な見積もりが提示されます。この時、「標準工事費」と「追加工事費」の内訳が明確に記載されているか、しっかり確認しましょう。
不明な点は遠慮なく質問し、納得できるまで契約しないことが大切です。
2: 工事当日(1〜2日)の具体的な作業内容
工事期間は、基礎工事の有無などによりますが、通常1日、長くても2日程度で完了します。当日の作業は、専門の技術者が段取り良く進めてくれます。
フェーズ | 作業内容 | 所要時間の目安 |
---|---|---|
1. 準備・撤去 | 周辺の養生、既存ガス給湯器の取り外しとガスの閉栓作業 | 1~2時間 |
2. 基礎工事 | 貯湯タンクを設置する場所にコンクリートの土台を作成 ※前日に行う場合もあり |
2~3時間 |
3. 本体設置 | 貯湯タンクとヒートポンプユニットを所定の位置に搬入・設置し、アンカーボルトで固定 | 1~2時間 |
4. 配管・電気工事 | 給水・給湯・追い焚き配管、ドレン排水管、電気配線を本体に接続 分電盤工事もここで行う。 |
3~4時間 |
5. リモコン設置 | キッチンと浴室に新しいリモコンを取り付け、配線を接続 | 1時間 |
6. 試運転・説明 | 全ての接続を確認後、試運転を実施 お客様に操作方法を説明 |
1時間 |
このように、工事は計画的に進められます。工事中はお湯が使えませんが、ほとんどの場合、その日の夕方には新しいエコキュートでお風呂に入ることができます。
3: 工事後の電力会社への申請
エコキュートの省エネ効果を最大限に引き出すには、電気料金プランを「深夜電力が安くなるプラン」に変更する必要があります。この手続きは、通常、工事を請け負った業者が代行してくれますので、ご安心ください。
契約内容を確認し、電力会社への申請代行が含まれているかチェックしておくと万全です。
失敗しない給湯器工事業者選びの5つのポイント
エコキュートへの交換が成功するかどうかは、業者選びにかかっていると言っても過言ではありません。特に緊急時には焦って決めてしまいがちですが、以下の5つのポイントを必ずチェックして信頼できるパートナーを見つけてください。
見積もりは詳細か?
「工事一式〇〇円」といった大雑把な見積もりを出す業者は要注意です。信頼できる業者は、以下を項目ごとに細かく記載した透明性の高い見積もりを提示してくれます。
- 本体価格
- 標準工事費
- 可能性のある追加工事費とその内訳
エコキュート工事の実績は豊富か?
エコキュートの工事は、ガス給湯器とは異なる専門知識と技術が必要です。会社のウェブサイトなどで、エコキュートの施工実績が豊富にあるかを確認しましょう。
具体的な施工事例の写真などが掲載されていれば、より信頼できます。
補助金の登録事業者か?
補助金を利用するには国の登録事業者への依頼が必須です。商談の早い段階で「給湯省エネ2025事業の登録事業者ですか?」と直接確認しましょう。
保証は充実しているか?
エコキュート本体のメーカー保証に加えて、工事業者が独自の「工事保証」を提供しているかを確認しましょう。万が一の設置ミスや水漏れなどに対応してくれる長期の工事保証があれば、安心して任せられます。
口コミや評判は良いか?
実際にその業者を利用した人の声は、何よりの判断材料になります。Googleマップのレビューや、地域の口コミサイトなどを確認し、対応の質や工事の丁寧さについての評判をチェックしましょう。
まとめ
突然の給湯器の故障は、精神的にも経済的にも大きな負担です。しかし、この記事で解説したポイントを押さえれば、きっと不安は解消され、ご家庭にとって最適な選択ができるはずです。
長期的な視点ではエコキュートが経済的です。10年間のトータルコストで考えると、ガス給湯器よりもお得になる可能性が高いでしょう。
「湯切れ」や「水圧」などの懸念も、適切な機種選びと設置計画でほとんど解決できます。
成功の鍵は信頼できる業者選びです。詳細な見積もり、豊富な実績、そして充実した保証を基準に、安心して任せられるパートナーを見つけることが何よりも重要です。
もし、ご自宅の状況に合わせた具体的な見積もりや利用可能な補助金の詳細について知りたい場合は、どうぞお気軽に私たち電気工事レスキューセンターにご相談ください。現地調査から最適なプランのご提案まで、誠心誠意サポートさせていただきます。
よくある質問
賃貸住宅でもエコキュートに交換できますか?
原則として、大家さんや管理会社の許可が必要です。給湯器は建物の設備と見なされるため、勝手に交換することはできません。ただし、大家さん側が費用を負担して交換する場合、オーナー向けの補助金制度(賃貸集合給湯省エネ2025事業など)も存在します。まずは管理会社や大家さんに相談してみてください。
太陽光発電とエコキュートの相性はどうですか?
最高の組み合わせの一つです。太陽光発電で日中に発電した余剰電力を利用して、電気代が割高な昼間にお湯を沸かすことができます。これにより、電力会社から買う電気をさらに減らし、光熱費を劇的に削減可能です。最近では、太陽光発電との連携に特化した「おひさまエコキュート」という製品も人気です。